勝ち組と「価値」組

[pixiv]T京K芸大学マンガ学科一期生による大学四年間をマンガで棒に振る
一部で話題の漫画をT京K業大学の卒業生が読んでみた。厚木じゃないですよ(笑)

pixiv未登録の方(読めない人)向けに説明すると、これはT京K芸大学マンガ学科一期生の卒業制作展に出展された作品を作者が上げたもののようです。81ページの読み切りで戦後の学生運動のビラを思わせる赤い背景にデフォルメされた絵柄、強烈な(?)ラストのセリフが印象的な漫画です。

マンガ学科なんてあるんですね。ググったらこんな学校がありまし(ry
こんなものを提出したら名誉棄損で訴えられそうですけど・・・出展てことは教授がOKしたんですよね?なんて懐の広い大学なんだ。春休みが3ヶ月はねーよwと思いましたが。

twitterでは漫画家さん達の感想や体験談が沢山つぶやかれているようです。
内容としては漫画を題材としなくても通じる話かなぁと思います。音楽なら
初音ミク】○○大学DTM学科一期生による大学四年間を音楽で俸に振る【オリジナル】
みたいなボカロ曲をニコニコ動画に投稿するのと同じ?(そんなPが居ましたねw

冗談はさておき感じたことは「勝ち組の言葉って何でこんなにも冷たいのだろう」ということ。
言ってることは正しいのに、心にはまったく響いてこない。って状況、自分はよくあります。負け組というコンプレックスを抱えてればまだ分かりますが、開き直ってる気分にもそれじゃ全然伝わらんよキミ(笑)と思いたくなることはままあります。

勝ち組になって初めて感じることを(相対的に)勝ってない人に訴えても無意味なんですよ。
自称勝ち組の人が、負けている時に同じことを聞かされたら分かるとは到底思えません。成功術を謳った本は一杯ありますけど、そういう本を買わせる動機って成功したい野心よりも好奇心の方が勝ってるわけで。

自分を振り返ると、社会人になって初めて感じたことや失敗の教訓は山ほどあるけど、それを学生の頃の自分に伝えても何1つ響かないんだろなー、残るのは言われたという記憶くらいなんだろなと。
人って、他人の失敗からは何も学べないんです。「失敗したこと」を知る機会に比べて「どうやって克服したか」を知る機会ってのはものすごく少ない。就活の必勝パターンに失敗談を語る、なんてのがありますが克服例を胸張って語れるのは、物心付いた頃からの記憶を絞り出しても片手で数える程度でしょう。

上の漫画の主人公は高校生の頃から作品を出版社に持ち込みいろんなダメ出しを受けてきたわけです。それで不貞腐れるわけでもなく、自分なりに努力して成長を見せようとしている。周りの「ただ漫画が好きで入った」学生に比べたら、自分の価値を知る上で多くのことを学んでいるわけです。

読んだ人の中に「自分の問題」として捉えた人がどれだけいたでしょうか。
クリエイターの世界って大変だよねー。普通の学科に入って良かった。就職率の高い大学に入って良かった。普通のサラリーマンで良かった。俺には関係のない話だ。そう思いましたか?

それも1つの読み方、楽しみ方なので否定はしません。
理系出身、やや特殊な職業に就いているとはいえ自分も普通のリーマンですので、こういった世界の厳しさとか、作り手の気持ちになって共感できる部分は無いに等しいです。 ただ1つ、この作品を"失敗談"として読むことはできなかったのは事実です。

就職活動って、自分という人間の「市場価値」が試される場ですよね。
今まで積み上げてきた経験や知識や人間性が社会でどれだけの価値を持つのか、わずか30分の面接だけで査定されてしまう、弱いハートにはあまりにも残酷なデビューイベントです。
それをほとんどの学生は、入学して3年後に突然体験するわけで。モデルやアナウンサー、マスコミ職を目指してる人はともかく、入学した時点で「自分はどれだけの価値があるか」を試そうなんて肝っ玉の据わった人はそうそう居ないかと思われます。有名大学であればなおさら。

就職も決まらず漫画を描き続け卒業した主人公は負け組でしょうか。
「社会に出て活躍し、高収入を得る」ことが勝ち組の定義ならばそうなるでしょう。僕の名札も負け組です。
前フリが長くなりすぎました。
つまるところ言いたいのはそんな定義で大丈夫か?(to世の中)ということです。

先に「主人公は持ち込みを通して自分の価値を学んでいる」と書きましたが、それでもヘコたれずに居られたのは自分をもっと愛して欲しい(見返したい)という原動力があったからですよね。そこは(山下さん的にも)否定しちゃいけないと思うんです(笑)。音楽だってモテたい下心が素敵な曲を生むこともあるわけで。
足りないモノを求めた先が間違っていた、というのがこの漫画の本質ではないでしょうか。

自分の価値がどうか?なんて、それが人生に直結しないなら知る必要はないかもね。けれど、試せる武器があるのなら知っておくことは、将来を幸福にすることはあっても不幸にすることはないんじゃないかと思います。多くの人は武器が何かも分からずに社会で戦うハメになり、働きながら見出していく。
今の自分って価値がないんだな、じゃあ1から作り直そう。そう思えた時が「価値」組(=勝ち組)のスタートラインじゃないかなー、と個人的には思っとります。ゴールテープは夢の中で切っ(ry

とりあえず自分は、もっと文才を磨かねば。。。